2022年11月25日金曜日

HJC システムヘルメット i90 HOLLEN HJH190 (YAMAHA ZENITH YJ-21)

フリップアップヘルメット(システムヘルメット)では、最高のコストパフォーマンス HJC i90 (ZENITH YJ-21) 
日本では、RSタイチが代理店となって販売されている。

日本での近い価格帯のライバルはOGKカブトRYUKI
恐らく、日本で最も売れているフリップアップ式ヘルメットであり、デザインはSF映画やアニメに出てきそうな未来的デザインで男子が好みそうな見た目が特徴。
海外展開をしていない為、試験評価等の情報に乏しく、国内のレビューしか参考にできないのが残念なところだ。
OGKカブトRYUKI

一方、HJC i90はシンプルなシルエットで見た目は普通のフルフェイスと変わらないので、車種や老若男女問わず受け入れやすい
HJC i90 ソリッドモデル

OGKカブトとの差は、アメリカ、ヨーロッパと言った世界規模で販売されており、良いも悪いも評価と試験実績が豊富な事と、日本でのネット販売での実売価格の安さが魅力だ。

HJC i90OGK RYUKIでフリップアップ式ヘルメットとしての機能には差が無いが、日本ではブランド的に大きな差があり、韓国企業のHJCは韓国と言う国のイメージの悪さと相まって不人気というより意識的に避けられる遠因となっている。

正直なところ国のイメージを無視したとしても、HJCは、契約ライダーに対してベストを尽くすべき舞台であるはずのMotoGPで内装の脱落、バイザーの曇りがとれなくなる等の問題を起こしており、HJCの製品に良いイメージを持つ人は少ないはずだが、トンビが鷹を生むの例えのごとく完成度やトータルバランスで優れた製品を稀に出してしまう事があり、このHJC i90もそんな製品に含まれる。

HONDAのHJC製品
HJCの製品を購入したのは今回が初めてではなく、そうとは知らずに購入したのがHondaのオフロード用ヘルメットHonda XP913 CHARGERである。
このヘルメットは低価格で軽い上にレースに参加するには必須となるMFJの公認を受けており、コストパフォーマンスは抜群でHONDAが販売する製品ということもあって、なんの躊躇もなく飛びつき、ふたを開けてみたらRSタイチが扱うHJCのOEM製品だったでござる。

正直なところHJCのOEMだと買う前に判っていたら選択肢にすら入らなかったはずである。
HONDAが採用するくらいなのでヘルメット自体は文句なく、レース向けに割り切った作りなのでベンチレーションにはシャッターは無くベンチレーションの効果も大きい反面、冬に公道を走るのは全く想定していない事以外は満足できる製品なのだが、塗装が使用状況によっては1年も経たずに黄ばみ始め、条件次第では未使用の在庫状態でも黄ばみ始める場合がある、そのせいか?2021年にはカタログから消えて、在庫がなくなり次第、販売終了という扱いになって、今ではホンダのヘルメットラインナップからHJCの製品は完全に無くなっている。

YAMAHAのZENITH YJ-21
YAMAHAのヘルメットと言えばHJCと言うくらいラインナップの殆どにHJCの製品を積極的に採用しているのは公然の秘密。
今回のHJC i90も、YAMAHAのZENITH YJ-21としてOEM採用もされているので信頼性も高い。

HJCのロゴは嫌なのでYAMAHAのZENITH YJ-21という選択も出来るが、ZENITHというロゴも微妙な感じでどうかと思う。
i90との違いは、顎ひもの留め具がi90はラチェット式に対してYJ-21はワンタッチ式と、内装の柄が異なりヤマハなりの拘りが反映されていると思われる。
HJC i90のラチェット式
ZENITH YJ-21のワンタッチ式


HJC i90の内装
ZENITH YJ-21の内装の柄

希望小売価格はRSタイチが扱うi90のソリッドモデルが¥24,200 に対して、YJ-21ではソリッドモデルで¥30,800と25%以上も高く設定されており、更にYJ-21では別売りとなっているピンロックシート¥3080)が、i90では同梱となっておりコストパフォーマンスの差は圧倒的でこうなるともう、いくらネット通販で実売価格差が小さくなっても、ロゴには目を瞑ってi90を選ぶのは必然だろう。

イギリス安全性評価試験 SHARP
HJC i90は世界規模で販売されている為、独自に小売店から購入したヘルメットの評価を行うイギリス運輸省によるヘルメットの安全性評価試験(SHARP)にも評価対象に選ばれているので安全性の評価を知ることができるのもポイント。
HJC i90SHARPの試験結果は前頭部、頭頂部、後頭部は最高の結果で、左右側頭部が最低の結果となっており総合評価は★★★☆☆となっている。
日本のメーカーで同様の総合評価はARAI ASTROSHOEI GT AIR等がある。
英国で販売されているすべてのヘルメットは、少なくとも 1 つの規制基準を満たしている必要があり、この規制基準より更に安全性の高いヘルメットを求める為の指標なので仮にSHARPの試験が☆☆☆☆だったとしても英国の規制基準を満たしている事から実使用に問題ない。

デュアルP / J認証
チンバーを上げた状態でも認証を取得しており、低速域であればチンバーを開いた状態での走行も想定した設計となっている。

ヘルメットカラー
HJC i90は日本でこそカラーバリエーションは控えめだが、登場から2年以上経過した現在、海外でのラインアップは非常に多く存在し、選択の幅は非常に多い。
今回、購入の決め手となった理由の一つにグラフィックデザイン自体は妥協しつつ、i90 HOLLENの白/赤/青の配色が気に入った事が含まれるが、現物を見るとメタリック塗装で人目を引くものとなっており、全く期待していなかったために予想外の塗装の良さには驚いた。
ただし、紫外線の強度によっては色あせや変色が比較的速く発生する事をHJCが警告しており、ヘルメットの耐用年数と同じく3~4年以内で色あせや、黄ばみが発生するのは避けられないようだ。

優れた視界
フリップアップ式ヘルメットにありがちな、上下の視界が遮られるような事もなく頭を動かさなくても、視点の移動だけでスピードメーターから道路や空まで見ることができる。
サンバイザーは顔の殆どを覆うほどの面積があり、サンバイザーと顔面の隙間から直射日光の目つぶしを食らう心配がなく完璧に機能する。

素早く簡単なシールド交換
シールドの取り外し、取付け時の各操作がワンタッチに近い感覚で素早くできるのは初めて体感すると驚異的で、これだけは素直に認めざるを得ない。
また、シールドを左右どちらの手からも開閉できるようにつまみが左右についているのも気が利いている。

SMART HJC 10B - Bluetooth communication system
HJC i90は、オプションとしてセナと共同開発したインカムシステムのSMART HJC 10BまたはSMART HJC 20Bを搭載できる。
SMART HJC 10B
このオプションは取扱説明書に日本語版まで用意されているが、残念な事に日本では販売価格が異常に高い。
SHOEIのGT-Air IIのオプションの様に操作部までヘルメットと完全に一体化する事は出来ず、操作部分だけ一般的な後付けインカムのようにヘルメットの左側面の下部に固定するスタイルでバッテリーや配線は綺麗にヘルメット内に収めることができる。
SMART HJC 10Bは1:1で通話可能、通話可能距離400m
SMART HJC 20Bは最大7人同時通話可能、通話可能距離1600m、FMラジオ受信機能

まとめ
フリップアップヘルメットとして考えると価格からは考えられないほど完成度は高い。
外観の大きさに対して、各サイズの許容頭部は小さ目、被り心地に関しては頭部形状に個人差があるので明言はしない。
重さは、1.8㎏台で他社製品と比べると最も重いが、重量バランスがよく練られており被ってしまえば重さは気にならない。

チークパットが厚いと言うか、頬をしっかり押さえつける構造の為、眼鏡を着用したままヘルメットを被るのは無理。
また、その頬のきつさの為、ヘルメットを被ったり脱いだりと言った動作でチークパットと顎ひもカバーにかなりの力が加わり、チークパットに縫製が甘い部分がある物に当たると、買ったその日にチークパットの縫製が甘い部分がほつれる場合がある。

倍以上の価格差がある上位製品との違いは、時速100キロオーバーの高速走行での静寂性と
ベンチレーションの効果、そしてヘルメットの構成素材による軽量化で差別化されている。

この製品はインカムのオプションなどのシステムを含めこの価格帯では恐ろしく完成度が高く、高速域での静寂性、少しでも軽く、と言った要素を最重要としなければ、フリップアップヘルメットの選択には、4万円も必要がないことを証明している。

最大の欠点はブランドという話はともかく、製品自体に問題点はみられないが、帽体のサイズがS~Lまで共通ということもあって、前モデルよりは小型化はしているようだが、MサイズやSサイズを使用する人にとってはこのヘルメットはやたら大きく、ツーリング先で持ち歩くには嵩張る上に重い。
とは言え大きいのは値段に関らずどのメーカーも同じなので、現状ではフリップアップヘルメットの宿命として受け入れるしかない。

入手が限られるオプション類
日本ではパーツの取扱い店舗が少なく交換頻度が高いミラーシールド等のオプション類が殆どのショップで売っていない。
22年11月の段階で補修パーツを除くオプション類はRSタイチ直販のHJC製品を除くと、ヤマハは売る気が感じられず論外で、HJCのオプションにしてもどれもこれも在庫切れか入荷未定で、海外でも在庫がなく入荷待ちの状態で手に入れることができない事から一度在庫切れになると日本での入手はかなり厳しくなるだろう。


オプションパーツ


ピンロックシールド(クリア・スモーク):HJP254¥4,400
ピンロックミラーシールド(ゴールド・ブルー・シルバー): HJP255¥5,830
アンチフォグレンズ(クリア):HJP258¥3,080
サンバイザー(ダークスモーク):HJP229¥3,300
チークパッド(S(30mm)・M/XL(35mm)・L(25mm)):HJP504¥3,300
インナーライナー(S(9mm)・M(15mm)・L(12mm)・XL(18mm)): HJP502¥2,970
調整用インナーライナー(18mm(M用))、(15mm (XL用)):HJP503 ¥2,970
ギアプレートセット:HJP256¥1,430
チンカーテン:HJP507¥880
ブレスガード:HJP508¥1,540

YAMAHA YJ21用

YJ-21 ZENITH クリア(標準装備品) 90791-49C23

YJ-21 ZENITH ダークスモーク 90791-46133
YJ-21 ZENITH ミラーシールド ゴールド 90791-46139
YJ-21 ZENITH ミラーシールド ブルー 907914613700
YJ-21 ZENITH ミラーシールド シルバー 907914613800
YJ-21 ZENITH チークパッド S/XLサイズ 30mm(STD) 90791-49C10YJ-21 ZENITH チークパッド Mサイズ 35mm(STD) 90791-49C11YJ-21 ZENITH チークパッド Lサイズ 20mm 90791-46132








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