目次:
ユアサ
YTZ5S-BSは主に排気量が50㏄~125㏄の小型バイクの多くに純正バッテリーとして採用されている。
ユアサ YTZ5S-BS
のスペック
Battery Details
Battery Type:
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YTZ5S-BS
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Battery Family:
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Fresh Pack, Maintenance Free
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Voltage:
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12
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Capacity (10-HR):
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3.5
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Dimensions:
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4 7⁄16 in. x 2 3⁄4 in. x 3 3⁄8 in.
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Weight:
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3.5 lbs. (1.59kg)
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Metric Dimensions:
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113mm x 70mm x 86mm
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Acid Volume:
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0.2 L
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Amps:
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0.4
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C.C.A:
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65
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Country:
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Indonesia
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Terminal:
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YTZ5S と GTZ5S の違い
2020年現在、HONDA
の50~125㏄のバイクは、ほぼ全てにYTZ5SかGTZ5Sのどちらかがが採用されている。
例えば、CT125の純正バッテリーはYTZ5Sとされているが、GTZ5SとYTZ5Sのどちらかがが搭載されていたりする。(どちらもホンダのロゴがプリントされている)
YTZ5SとGTZ5Sの違いは、急速充電に対応しているかの違いで、GTZ5Sは急速充電は不可。
YTZ5S=タイランド(インドネシア):急速充電対応
GTZ5S=ベトナム:急速充電不可
YTZ5S-BS互換 鉛バッテリー
鉛蓄電池の場合、安価な物も含めて種類も多く、耐久性や寿命に不安があっても価格差を考えれば十分なメリットがあり、選択肢は多い
YTZ5S-BSと互換バッテリーの決定的な違い
2000年代初頭、市場が縮小する一方の日本に見切りをつけ、市場拡大が見込めるASEAN地域に活路を見出したホンダはASEANのような高温の気候環境下では,バッテリーの流通過程での在庫期間や長期未使用状態での保存における自己放電が問題になってていた。
コストを抑えつつその問題解決の要望に応える形でユアサは株式会社本田技術研究所の協力を得て高品質とコスト低減を両立すべく、数年の研究開発を経て生産性を10%改善するとともに鉛量を5%削減。
初期性能・寿命性能は40 ℃の恒温水槽中で保存し、その開回路電圧が13.3vから 12.4 V に到達するまでの期間「YTZ5S」の性能を維持しながら自己放電を 1/2 に低減したYTZ4VおよびGTZ4Vをタイ生産拠点で開発。
具体的には40 ℃の恒温水槽中で保存し、「旧 YTZ5S」が満充電から補充電なしで充分エンジン始動可能な残存容量約 50% に相当する12.4 V に低下するまで70日。
一方、新開発のYTZ4Vは140日と倍の性能を有する。
2008年タイ・ホンダ及びホンダ・フィリピンへ納入開始。
この改善は「YTZ5S」にも適用されたことにより少なくとも2009年以前の「YTZ5S」と現在の「YTZ5S」は別物となっているが、当然互換バッテリーがそんな真似を出来るはずもなく、精々「旧 YTZ5S」程度の性能になる。
即ち、互換バッテリーと現行「YTZ5S」の決定的な違いは自己放電の差と環境対策であり、それ以外は殆ど変わらないとも言える。
YTZ5S互換 鉛バッテリー リスト
外形寸法は、JIS表記とは異なり実使用に基づいた寸法表記とした。
※バッテリーの⊕端子表記は、JIS規格の極性表記とは異なり、バッテリーのラベル印刷面(又はステッカー)側から見た場合の⊕端子の位置としている。
バッテリーが長く持たない場合の考えられる理由
1~2週間で過放電になってしまう様なら車両の電装に問題があり、その車両がスマートキー採用車両なら駐車環境に問題がある可能性もある。
通常、新車で購入しノーマル状態であれば1~2ヶ月放置したくらいではあがったりしない。
車両の電装に問題がある場合
・電装品を装備しすぎて走行中に充電が満足にできていない。
・イモビ等の防犯アクセサリを取付けたために待機電力が増えている
・USBソケット等のアクセサリソケットをバッテリーから直で接続している
・電装品の消費電力が高く走行中の充電電圧が下限を下回り過放電になっていた
車両の故障による場合
・レギュレータの故障による電圧異常、充電電圧が適正範囲を超えてしまいバッテリーが死亡。または、充電電圧が下限を下回り過放電で死亡。
・ジェネレーター(オルタネーター)の故障による電圧異常、充電電圧が下限を下回り過放電
・車両の配線の劣化による漏電又は、電装品追加時の作業ミスによる漏電等
スマートキー採用車両の場合
・スマートキー搭載車両はスマートキーからの電波を受けるために僅かであるが常に電力を消費している。
その為、長期間乗らないでいると過放電となるのは避けられない。
・車両の駐車場所とスマートキーが通信可能範囲内にあるほど近距離にある場合、頻繫に電波を出して通信を行う為にスマートキーの電池と車両のバッテリーの両方で電力を消費する為、バッテリー容量の少ないバイクでは過放電となりやすい。
仮に自分のスマートキーが車両のそばになくても他人のスマートキーの電波や同じ周波数帯を利用する電子機器でも車両側は反応してしまう為に節電モードに移行できずに電力を消費する。
これらのケース以外に、スマートキー搭載車を狙った車両盗難の手口「リレーアタック」による攻撃を自分、もしくは他人の車両に仕掛けられていた場合も該当する
トヨタなどの一部の車両ではこの問題の対策の為に強制的に節電モードにさせる機能が付いたものもある。
グレードアップとしてのバッテリー選択
バッテリーをグレードアップするなら現在のところリチウムイオンバッテリーの一択である。
車なら圧倒的な軽量化、バイクなら軽量化と製品によっては出力容量アップが可能な二輪用バッテリーは現在のところリチウムイオンだけであるが、これはスポーツ走行やチューンアップの一環としての話でツーリング向けの高級車両やツーリング向きに電装をカスタムする車両にはリチウムイオンバッテリーは向いていないどころか危険ですらある。
自動車用バッテリーは、機能や性能が全く違う2種類がある
バイクでは居住性といった性能は求めようがないので、問題にならないが自動車ではレース用を除けば、最低限から家庭並まで用途に応じて居住性という性能も求められる訳で、それに合わせてバッテリーも
Deep Cycle Battery(ディープサイクルバッテリー)と
Sterter Battery(スターターバッテリー)の2つの種類が存在する。
Deep Cycle Battery(ディープサイクルバッテリー)
基本的に車.バイク用のバッテリーとは別物と考えていい。
震災時などの非常用やキャンプ用のサブバッテリーとして家電を利用したり、電動自転車向けバッテリーのように満充電状態から、ほぼ空の状態になるまで使い切るといった、深い充放電を繰り返して利用するのを想定したバッテリーの事で非常に容量の大きなものが要求される。
構造的に、充電時の電極への負荷が高い為、頑丈に作る必要があり、その結果価格も高く重量も重くなる。
当然バイク用のディープサイクルバッテリーという製品は存在しないが、密閉式の鉛バッテリーは少量の電流を連続して供給した場合は容量の低下が緩やかというディープサイクル的性質があるので、電装品を追加しているような車両では鉛バッテリーが有効である。
Sterter Battery(スターターバッテリー)
スターター用途に特化した性能であり、セルモーターを力強く回せることを目的としている為、電流容量よりも瞬間的に流せる電流の出力密度の高さによる瞬発力重視のバッテリーの事で、リチウムイオンバッテリーがまさにそれである。
この性能を示す数値は、コールドスタート時の最大出力Aを表す
CCA「Cold
Cranking Ampere/コールド・クランキング・アンペア」で表記されている。
CCAは主にアメリカなど西欧で採用されていたが、最近は日本でも性能表示として採用するようになった。
本来、自動車のバッテリーはエンジンを掛ける事がもっとも重要な目的であり、エンジンを始動する際に最も電気を消費する。
少ない電流を長時間流せるというのではなく、いかに短時間に大量の電流を流せるかというのがバッテリーには最も重要な性能だという考え方によるもので、「バッテリーの性能
= 始動性 CCA値」となった。
この為、リチウムイオンバッテリー=大容量(長持ち)と言う誤った認識でリチウムイオンバッテリーを買ってしまうと残念な結果となるので注意が必要。
今現在、リチウムイオンバッテリーを使用していて、冬はエンジンが掛かりにくいので、イグニッションスイッチをONにしてバッテリーが活性化するまで数分の間をおいてからエンジンを始動する「儀式」を必要としているなら、次は、CCA値がもっと大きいタイプをお勧めする。
二輪用リチウムイオンバッテリー(LiFe)の簡単な歴史
携帯可能電子機器に使われるリチウムポリマー電池やリチウムフェライト電池といった、既に普及しているリチウムバッテリーに新たに加わったのが、2010年頃にアンチグラビティやショウライが発売した正極材料にリン酸鉄リチウム(LiFe)を使ったバイク用バッテリーだ。
その軽さと放電能力、そして安全性を謳い文句に多くのライダーから注目を浴びるが、その注目の理由は新製品に対する期待と違って、多くは不安感によるものだった。
不安の理由は、2006年以降に相次いで発生したSony Energy
Devices等のリチウムイオン二次電池の異常発熱と発火事故以降も度々問題が起きていたリチウムイオンバッテリーの発火・発熱問題によるもので、この問題でリチウムイオンバッテリーの危険性が広く世間に広まっていた事が大きい。
バイク用リチウムイオン発売の情報が発信された時の感想の多くは、
「バイクにリチウムバッテリーなんて狂気の沙汰」的なものだった。
不安感を抱く一方で、その性能と軽さによる圧倒的パフォーマンスと引き換えに爆発する危険性という胸が熱くなるドラマチックな妄想を抱かせ、元々バイクというリスクが高い乗り物にまたがる一部のライダーにとっては男の浪漫パーツとしての期待感もあった。
日本での販売よりも先に海外で販売されていた事から、評価は事前に知る事が出来たが、ショウライとアンチグラビティの両社とも同じ(LiFe)を採用していながら、アンチグラビティの製品は形状こそ特殊だったものの、実績がある製造工場での生産に加え、性能と信頼性の評価が高く、アンチグラビティへの期待が高まったが価格も高かった為、ロマンを感じればリスクも出費もいとわない浪漫度が高いライダーは当然アンチグラビティを手にした
一方のショウライの製品は一般的なバイク用バッテリーの形状なので取付がしやすく扱いやすかったが、中身の構造がバッテリマネジメントシステム(BMS)をバッテリー側に搭載せず(現在は簡易的なパッシブバランシング回路を内蔵)、専用充電器側に搭載して専用充電器利用時のみバッテリーセルの調整を行うという割り切った設計だった為(現在は普通に使用している分には問題にならない程度にセル間のバランスは保たれる)、中身は大雑把でシンプルな構造だった事に加え、バッテリーセルは秘密の中国製造(現在は不明)だったり、さらに第1世代iPod
nanoに搭載されたリチウムイオン二次電池の過熱・焼損事故のニュースがまだ多くの人々の記憶に焼き付いていた事もあって、ネガティブな印象を持たれるなどイメージ的に不利な販売となった。
その代わりボディの扱いやすさと、純正バッテリーと同等かちょっと安価という価格設定もあって、初物好きで好奇心旺盛なチャレンジャーを中心に売れていった。
結果は登場から約10年、ライバルだったアンチグラビティが存在感と市場を失っていく一方、ショウライが購入から9年たった今でも使えている等、年を重ねるごとに利用実績とジャンルを超えたユーザー間のノウハウを積み重ねて信頼を掴み、今ではバイクはもとより四輪のレースでバイク用のショウライバッテリーをそのまま利用するのが定番化していたりと、チューニングパーツの一つとしてレースを中心に広がって、現在の自動車・バイク用リチウムイオンバッテリーの市場と可能性を切り開いた。
尚、「リチウムフェライトバッテリー」はショウライの商標でバッテリーの種別のことではない。
国内規定と国際規定でも「リチウムポリマー(LiPo)電池」や「リチウムフェライト(LiFe)電池」という種別は存在せず、分類も存在しない。
すべて「リチウムイオン電池」として定義される。
バイクでのリチウムイオンバッテリーのメリット
・容量が同じなら重量が純正バッテリーの50%以下~70%と軽量
・放電能力に優れる事
・自己放電率の低さ
・鉛バッテリーの3〜5倍の長寿命
鉛バッテリーとリチウムイオンバッテリーの特性の違い
鉛バッテリーの場合
車両に取付けている状態のバッテリーの電圧は内部電力量に近い。
この特性は、容量が低下するにつれて電圧も下がっていく事を意味するので、電圧を測定すればその時の電圧の数値が現在のバッテリ残量と考えて良い。
この、容量が低下するにつれて電圧も下がっていくと言う特性から、容量の低下にしたがってセルモーターの回転は重く、イグニッションコイルが発生するスパーク電圧も低下していくので、わざわざ電圧を測定しなくてもバッテリー容量の低下が体感で実感できる。(この状態になるまで充電できずに使用する事自体問題だが)
リチウムバッテリーの場合
内部容量が低下しても電圧の低下は非常に緩やかで、(バッテリー容量が減っているのに対して電圧の下がり具合が僅かしか変わらない)バッテリー容量の低下に気付き難い。
例えば、ショウライバッテリーの場合、使用時の電圧は13.2V前後となっているが、重要なのは、これが12.5Vまで低下した場合、鉛バッテリーでは普通な状態だが、ショウライバッテリー(LiFe)では瀕死の状態という事である。
何故こうなってしまうのかというと、リチウムイオンバッテリーは内部容量がほぼゼロになる迄12V
以上の電圧を維持すると言う特性の為である。
実はこの状態では内部に残っている電力は最大容量に対して約4%程度まで低下しており、鉛バッテリーで言うと、電圧は8V以下と言う状態である。
これを人間で例えると、黙々と死ぬ直前まで全力を出してしまう様なタイプという事だ。
この特性の為、USB、ヒーター類、カーナビ(スマートフォン)、ドライブレコーダー、等の複数の電装品を接続した車両によっては電力不足で充電が満足に出来ずに過放電状態が続き突然死となる。
車両の電源状態をよく確認せずにうっかりリチウムイオンバッテリーを搭載してしまうと購入後一ヶ月も経たないうちに死にましたと言うレビューを書き込むことになる。
リチウムイオンバッテリー、デメリットは?
リチウムイオンバッテリーのデメリットは、使い方自体は鉛バッテリーと変わらないが、低温環境下での弱さと、過放電、過充電が行き過ぎると発熱、発火の危険性があると言う点につきるだろう。
リチウムイオンバッテリーを導入する際は、車両の電源周りのチェックは入念に、接続も確実に行う必要があり、ミスは許されない。
リチウムイオンバッテリーを導入する車両では、適切な発電と充電電圧が供給されている事を確認しておく事が重要。
特に鉛バッテリーからリチウムイオンに交換する理由が、寿命・長期間放置・メインスイッチの切り忘れと言った明確な理由がなく、ある日いきなり突然死したのでリチウムイオンに交換するといった場合は、明らかに車両の電装に問題があるはずなので、リチウムイオンに交換しても無駄どころか場合によっては焼損の可能性すらあるので、まずは車両のメンテナンスをするべきだ。
突然死には至らないものの、使用から1年も経っていないにもかかわらず頻繁に補充電が必要な程、容量低下が激しい場合も車両の電装に問題があるので問題が解決するまではリチウムイオン化は止めておく必要がある。
特に年式の古い車両や不整地走行で振動と衝撃が激しい走行を行っている車両では、オルタネーター、レクチファイヤ、レギュレーターが正常に動作しているかを確認するか、見ただけでも判るくらいくたびれているのなら新品に交換する事をお勧めする。
車両の電装管理が杜撰だと内部セルの損傷に直結するシビアさ
特に注意すべき事
充電電圧の制限
リチウムイオンバッテリーの公称充電電圧は14.4V、最大充電電圧は、14.6V
( この電圧値を上回る充電環境では過充電となり、バッテリーに損傷を与えてしまう
)
充電電圧下限は13.5V、13.8V程の充電電圧で80%の充電が可能
(
この電圧値を下回る充電環境では十分に充電されず、過放電を懸念する必要がある)
放電電圧の制限と限界値
電圧下限値は容量が0%となる8V程度とされる。殆どの製品では、放電深度20%にあたる電圧値10Vを下限値に設定している。
8V以下(0%以下)まで放電してしまったリチウムイオンバッテリーは、内部セルが損傷する。
損傷を受けたセルは充電時に発熱し、その度合いは損傷状況や充電環境によって異なるが、こうなってしまと正常な充電電圧値であっても発熱する。
この発熱が原因となりセルの膨張や発煙、また溶解を誘発する場合もあり、LiFeは燃えないといっても、電圧表示などのインジケータを搭載しているような製品では内部の部品が高温になってケースが溶けだしたり発火する場合がある。
0℃以下の低温環境での充電と60℃以上の高温環境での利用はNG
・マイナス5℃以下の低温環境での充電は負極で析出したLi金属がセパレータを貫通し、正極とつながり内部短絡を起こす場合がある。
・環境温度が60℃を超えるような高温下での利用は容量の劣化を引き起こし、高温下で劣化した分の容量は復活はしない。
・バッテリーの電圧が13V以下の状態が続くと突然死(保護回路作動)する場合があるので13.2V以上(SHORAIの場合)を維持するように心がける。
2021年現在、販売されているリチウムイオンバッテリー
登場から間もない2011年頃のバイク用リチウムイオンバッテリー製品は、アメリカの企業であるショウライとアンチグラビティの2社のみだったが、
10年後となる2021年現在は、多くの企業から販売されており製品の選択肢は多い。
現状、お勧めできる製品は一社しかないので、良い悪いはともかく、それなりに売れてはいると思われるメーカーをピックアップしてみた。
Antigravity アンチグラビティ
SHORAIと並ぶ古参のメーカー。当時は高価だが高性能でコンパクトと言うのが売りだったが、実使用ではSHORAIと比較して価格差程の優位性が殆ど感じられず、小型だが独特の形状によるめんどくささもあってか、リチウムイオンバッテリーがまだ珍しかった当初こそ、それなりに売れていたようだが、次第に目にする機会がなくなり、すっかり存在感が消えてしまった。
一応、今でも販売されていて、一般的なバッテリー形状の製品ラインナップも追加したが、評価は散々なものが多く発売当初の高いけど凄そうなイメージは完全になくなってしまった。
ELIIY Power エリーパワー
エリーパワーの「HY battEliiy Pシリーズ」は、初の純国産バイク用始動バッテリーで、ホンダ・レーシングチームでのモトクロス実戦環境下でのテストを経て、Honda「CBR1000RR
Fireblade SP/SP2」「CRF450R/RX」「CRF1000L Africa
Twin」「CRF250R」に純正採用と、安心感も抜群。
だが、製品情報を読むとちょっとおかしい事に気付く。
https://www.eliiypower.co.jp/products/motorcycle/data/b_compatibility
このバッテリーには、過電流や過充電(過電圧)が発生した際に、バッテリー内部のヒューズを遮断する保護装置が搭載されているのだが、注意事項には誤ってヒューズを遮断させないために、「
3気筒以上」
のオートバイでなければならない。
「
単気筒」、「
2気筒」
のオートバイには使用できない。と明記されているのだ。
ところが、市販品と同じバッテリーでありながら純正採用されている「CRF450R/RX」「CRF1000L
Africa Twin」「CRF250R(競技用)」は2気筒や単気筒だ。
何とも矛盾した話だが、注意事項を読む限り、この製品は車両を限定することで保険を掛けたと推測できる。
純正採用の「CRF450R/RX」「CRF1000L Africa
Twin」「CRF250R(競技用)」では、純正採用にあたって十分なテストを行い安全性を確認したという事だろう。
つまり、バッテリーの市販化に当たって、市販されている車両を全てテストするなど不可能なので保険を掛けたという事だ。
保険の理由は、エンジンの気筒数を限定している事から、まず間違いなく振動の問題である。
振動の問題は、価格の高さから察するにバッテリーに内蔵されているBMU(バッテリーマネジメントユニット)である。
価格を考えると、このBMUはアクティブ型か、もしくはパッシブ型だとしても、かなり高度な造りで電子部品の集積度も相当なものだろう事は容易に想像が付く、これがエンジンの振動で頻繁にブルブルしていたら、振動の種類(周波数)によってはコールドスタートから走行という激しい温度変化による熱膨張係数の差により発生した繰り返し応力による熱疲労も加わって電子部品や配線の半田が剥離する場合があるという事だろう。
そして、この問題の答えが3気筒以上と言う訳だ。
注意してほしいのは、この製品自体は高品質でしっかりとした製品であり、問題は利用できる車両が限定せざるを得ない事情である。
車載電子部品の振動と熱膨張の繰り返し応力の問題は、この製品だけの問題ではなく、全ての車載電子部品に当てはまる事であり、その対策として、大抵は部品の固定にはゴムを噛ませたり、熱に強い部品や発熱しない部品であれば、樹脂等で覆って固める等の対策をしているのが一般的だ。
だが、樹脂封止技術は、技術的には古くから行われているが、車載電子製品に与えられた制約条件下で実現するためには、まだまだ解決すべき問題点が多く存在する。
充放電時に発熱するリチウムイオンバッテリーでは、基板を樹脂で固めてしまうと基板上の電子部品が発熱してしまい短期で痛んでしまう等の理由があって樹脂封止技術のような完全防御的な対策は、技術的に実現可能と思われる要素技術はあるようだが、部品仕様、製造条件、コスト等の何らかの制限で万全な対策ができなかったのだろう。
純国産で市販オートバイに純正採用されるような4万円以上という高価なリチウムイオンバッテリーですら、このような制限があるのだから現在販売されているバイク用リチウムイオンバッテリーで特に安価な中国製のBMS(バッテリーマネジメントシステム)内蔵などと謳っている製品は推して知るべしである。
リチウムイオンバッテリーに限らず、厄介なのは、この振動と熱膨張の繰り返し応力の問題は、使い続けていくうちに徐々に進行するが、車両の状態や車種、利用環境といった条件によって発症の確率や時期が大きく左右され、条件が良ければ3~4年以上持つ場合もあるが、数か月程度の使用ではまず発症しない事から、1年程度の保証を付けて販売しているような製品の場合、この問題で故障する時は保証期間はとっくに過ぎてるというイヤらしい性質をもつ。
数ヶ月程度の使用で死んでしまうような場合は、不良品の場合も稀にあるが、殆どは車両の電装の問題である。
ELIIY Powerのバッテリーは「高度な電子制御で
安全性と信頼性を担保する」という日本製らしい設計思想で、SHORAIバッテリーの「バッテリー内部にはシンプルな配線と簡易的な回路のみ使用し、ただの蓄電する箱として信頼性を高める」と言う吹っ切れたような発想とは対極の製品である。
その高度な電子制御技術の結果、安心安全の為とは言え、立ちゴケ程度でも条件次第では「危険な振動を感知しました!発熱・発火の辱めを受けるくらいなら安心安全の為に自害します」みたいな事も起こり得る訳で、その場合、ユーザーによる介入が不可能なバッテリー内部のヒューズを遮断する保護装置等、柔軟性が無く融通が利かない設計と仕様は、悪い意味で純日本製らしい物といえる。
Skyrich スカイリッチ
カワサキ、KTM、(競技用車両)Ducati、の一部に採用されるなど、製品に期待してしまうが…。
一見まともな製品に思えるが、実売価格の安さからもわかるように「返品、保証については商品到着後、7日間の初期不良のみの対応」と、保証する気は全くないのは明白。
数か月以内に死んでしまった報告が多く、そのバッテリーを分解した画像が多数公開されているが、バッテリーの内部構成はBMS(バッテリーマネジメントシステム)を搭載していないシンプルなもので、過充電防止回路を内蔵と明記しているものの、実際には回路と呼べるような物は搭載されていなかった。
安さと軽さが武器と言えるがリスクも高く、その品質を裏付けるように、発熱によって変形を起こしたレビューが目立つのも特徴。
運が良ければ何事もなく普通に使えるようだ。
標準のユアサYTZ5S-BS相当のサイズとなるHJTX5L-FPは容量:4Ah相当、CCAが120と、このサイズのバッテリーでは容量も瞬発力も平凡なものだが、この数値も信じていいのか疑わしいので、軽量な事以外メリットは無い。
AZバッテリー AZ岡田商事
外見からわかるように色が違うだけでスカイリッチと同じ電槽(外装)なので不安を覚えるが、これは電槽に産業向け汎用品を使用している為で、中身は異なる。
流通量が多い割に発熱等のトラブル報告も見あたらない事と、極簡易的なパッシブバランス回路(BMS回路搭載としているがそんな高等なものではない)を搭載、割とまともな製品といえる。
注意点は、容量等のスペック表記が何故か定置用リチウムイオン蓄電池の容量値で使われる消費電力(Wh)だけで、電圧やCCAなどの数値が非公開なので邪推すると、同サイズの鉛バッテリーに対して実容量はかなり小さいので詳しい表記を避けたものと思われる。
標準のユアサYTZ5S-BS相当のサイズとなるITZ5S-FPでは、消費電力24(Wh)なので、これを仮に電圧12Vで鉛バッテリーの10時間率容量で換算すると2Ah程度となる。
これはユアサYTZ5S-BSと同サイズの平均的な鉛バッテリーの半分程度の容量しかない事になり、50㏄程度のバイクでは問題にならないが、125㏄以上のスマートキーやUSB,端子装備といったハイグレードタイプのバイクではちょっと厳しいと思われる。
標準バッテリーのユアサYTZ5S-BS互換を購入するなら、同じ、YTZ5S-BS相当のサイズで容量が僅かに多いITZ7S-FPを選択するべきだが、ITZ7S-FPの容量は消費電力28.8(Wh)電圧12Vとして10時間率容量で換算すると2.4A程度と、ユアサYTZ5S-BSより低く、ITZ5S-FPとの容量差が小さい割に価格が4千円以上跳ね上がるというコストパフォーマンスの悪さが問題となるだろう。
Maxima Battery ライズコーポレーション
BMS回路とシリコン等を使った衝撃対策の独自構造というのがセールスポイント。
実売価格を考えるとBMS回路はおそらく極めて簡易的なパッシプタイプだろう。
産業向け汎用品の電槽(外装)だが、手にしてみると意外としっかりしていて安心感はある。
標準のユアサYTZ5S-BS相当のサイズとなるMLZ5S-FPは、電圧12.8V、容量38.0Whで10時間率容量で換算すると3Ah程度と、標準バッテリーであるユアサYTZ5S-BSより0.5A程少なく、CCA値は記載が無くCA値のみとなっており、その値は90CAと標準のユアサYTZ5S-BSを上回るが、他社リチウムイオンバッテリーより低く、低温環境下には特に弱い事が伺える。
このバッテリーは、YTZ5S-BS相当のバッテリーでも希望小売価格(税別)28,800円と、有り得ない程の高い価格設定だが、実売価格は半額以下とかなり安い場合があるので初めてリチウムイオンバッテリーを導入する場合には試してみる価値はある。
保証期間は12ヶ月間と、その期間は、万が一バッテリー上がりが発生した場合、最寄の拠点より365日24時間体制でバッテリーをジャンピングスタートしてくれる※ロードサービスも提供される。(2020年12月現在の話)
※レッカーサービスではない事に注意、あくまでジャンピングスタートしてくれるだけである。
販売力が弱いらしく、実店舗での取扱いは無いに等しい事から、直販かamazon等で通販による購入となるが、保証書には購入時に販売元であるライズコーポレーションのスタンプがしっかりと押されるので、直販以外での購入時は販売・発送するのがライズコーポレーションであることをしっかり確認する事。(2020年12月現在)
2021年で日本での発売から10年が経過し、車両への適合や、性能や取扱いと言ったノウハウの蓄積と実績による信頼感は大きく、
2輪4輪問わずサーキットでの使用が多いが、スターター用リチウムイオンと言う特性上、実容量は鉛バッテリーの1/2~1/3程度しかないという理由から、フォグランプ、ドライブレコーダー、ナビゲーションと言った標準仕様を超えた電装過多の快適ツーリング仕様のようなバッテリーの消耗が激しくなる傾向の車両(特にスマートキー採用車両において)では、全くお勧めできない。
SHORAIバッテリーの特徴として、簡易的なバランス回路のみを搭載して、BMSをバッテリーに搭載せずに、充電器側に搭載してメンテナンスを行うという設計が挙げられる。
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補充電する事も無く10年目を迎えた「zoomer」に搭載されたSHORAIバッテリー。 バッテリーより先にエンジンが逝ってしまった。 |
BMSを搭載しない分、バッテリー内の部品や配線構造がシンプルになり衝撃や振動に対して信頼性の向上が望める他、充電器に搭載したBMSによるバッテリーマネジメントを行う為に、必然的に各セルとつながるBMSポートをバッテリー側に用意しているが、このBMSポートを搭載している事がSHORAIバッテリーの最大の強みとも言える。
メーカー的には好ましく思わないだろうが、結果的にこのBMSポートを設けたこの設計が、社名の由来となった日本語の将来という言葉通り、技術に明るいマニアックな人々にBMSポート活用と言う大きな未来と可能性を与える事となった。
個人の自己責任の下、ケーブルを作成する事でドローンや電動ガン向けの汎用充電システムと周辺機器等で4セル以上のLife対応機器が利用可能で、ユーザー自身によるバッテリーのセル単位の調整管理、メンテナンスが可能となり、一般用のバイク用リチウムイオンバッテリーとしてはプロフェッショナル的な運用管理が可能な唯一の革新的な製品となっている。
標準のユアサYTZ5S-BS相当のサイズでは、容量違いで3種類と極性の違い2種類、計5種類の製品があり、小排気量から1000㏄超までカバーできる。
LFX07L2-BS12は、電圧13.2V 、10時間率容量7Ah程度、CCA102A
LFX09L2-BS12は、電圧13.2V 、10時間率容量9Ah程度、CCA135A
LFX14L2-BS12は、電圧13.2V 、10時間率容量14Ah程度、CCA210A
LFX09A2-BS12は、電圧13.2V 、10時間率容量9Ah程度、CCA135A ⊕プラス端子が左側
LFX14A2-BS12は、電圧13.2V 、10時間率容量14Ah程度、CCA210A ⊕プラス端子が左側
YTZ5S互換 リチウムイオンバッテリー 比較表
※10時間率容量の補足
※
推定~の数値は計算により算出した数値
※
~相当の数値は実質的には、鉛バッテリーの1/2~1/3程度となる
その他
BMS回路とは
複数個の2次電池セルを直列に接続した構造を持つバッテリーにおいて、それぞれの電池セルの蓄電容量を均一化(セルバランスの均一化)する機能を持つ回路の事をBMS(バッテリーマネジメントシステム)回路と呼ぶ。
個々の電池セルの蓄電能力はそれぞれ製造時のバラツキが存在するため、同じ充電時間であっても満充電に達するセルと、80%程度しか充電されていないセルがあったりとセル間に差が出てしまう。
このままの状態で充放電を繰り返すとバッテリーの容量が実効的に低下するばかりか、やがて過充電のセルや過放電のセルが発生してしまう。
特にリチウムイオンバッテリーでは、過充電/過放電は発火につながる危険性がある為、過放電や過充電に至らないようにセル・バランシング(均等化)制御が必要となる。
そのセル・バランシング制御を行う回路の総称がBMS(バッテリーマネジメントシステム)と呼ばれるものだ。
簡易的なものを含めたBMSのようなバランス回路を搭載しないリチウムイオンバッテリーでは、過充電/過放電の閾値を設け、閾値を超えたら保護回路が働き使用不能(突然死)となる。
保護回路すら持たない場合は、セルが膨張し、その時点で運が良ければバッテリーが死亡する事で気付くが、最悪の場合は、発熱から発火へと至り大惨事となる。
短絡などで過電流や過電圧が発生した場合は、保護回路が働かずに発熱・発火する場合があるので車両の電装作業には細心の注意が必要。
BMSの種類
セルバランシング制御を行う方法は
パッシブ方式と
アクティブ方式の二種類がある。
パッシブ方式
バッテリーを充電中、内部の複数のセルのうち、先に満充電となったセルは放電させることでセルバランスを確保する。
システムがシンプルというメリットがある一方で、余剰エネルギーを強制的に放電させるためエネルギー効率が低いというデメリットがある。
過酷な環境下で利用されるバイク用のバッテリーでは、完全なパッシブ方式の搭載は厳しいので、BMS搭載というバイク用リチウムイオンバッテリーでは、殆どがパッシブ方式を更に簡素化したような回路を採用するが、これをBMS回路と称するかはメーカーの裁量次第である。
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4セル用パッシブ方式制御基板の例 |
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SHORAI LFXバッテリーの簡易バランス回路 |
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AZバッテリーのBMS?回路 |
アクティブ方式
先に満充電となったセルの電力を他のセルに移すことで均等化するというもので、システムが複雑になるためコストが上昇するものの、エネルギー効率を高められる。
最近では電気自動車等の電動化普及促進によるバッテリー需要の増加を見据えてBMSの開発競争が激しく、小型化が著しい。
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アクティブ方式採用のセルバランシング制御基板の例 テキサス・インスツルメンツ(TI)のリファレンス・デザイン |
ちょっとでも完全放電などで10V以下になると全く充電が出来なくなる。
そうなった場合は廃棄するしかないのだが、ダメ元で以下の対象方法で充電ができる可能性がある。
カメラなどのリチウムバッテリーでは比較的メジャーな方法で、これはショウライバッテリーにも有効で試してみる価値はある。
・冷蔵庫(冷凍庫)でバッテリーを一旦冷却させて充電を試してみる。
・通常の健康な鉛バッテリーを並列に繋いで充電することによってバッテリーの状態を健康な状態に見せかけて、保護回路を誤作動させ、充電を実行させる。
運が良ければ充電が行われるが、充電が可能になったことを確認したら直ちに充電をやめて、充電器をリチウム対応か専用充電器に切り替えて充電する必要がある。
そのまま 鉛バッテリー専用充電器で充電し続けると完全にバッテリーは死亡する。
容量計算(WHr)
式 WHr=Ah x V
個人的な見解だが、キックスターターが付いている車両であれば、バイクの鉛バッテリーは純正にこだわる必要は無く安価なバッテリーでもいいと思っている。
始動方式がセルのみの場合、出先でバッテリーが上がってしまうと、一人ではお手上げなので信頼できる物を購入するのは当然だが。
電装品の追加をしていないノーマル状態の車両の場合、週に一回は乗っていれば純正バッテリーは3~4年以上は持ったりするが、車両の状態や電装装備の内容、更に消し忘れ等のうっかりミス等で早々にダメになってしまう事もありがちなパーツなのでその度に一々高価な純正バッテリーに交換するのは物価高の現在では勿体ない。
鉛バッテリーなら、どんなに安くともリチウムイオンバッテリーの様にバッテリーが発火する心配は無い為、3000円前後の低価格品を試す価値は十分にある。
たとえ数ヶ月程度でダメになっても出費を考えれば損害は少ないし、廃棄の手間はあるが一年も持てば十分元が取れるので財布にも優しい。
純正と低価格品の二つを補充電の度に交換して使うか、安価なバッテリーに交換して純正品をキープしておくと言った使い方が安心だろう。
マキシマバッテリー MTZ5S シールド式
同社のリチウムイオンバッテリーを使用した限りでは、
安価なブランドとしてはまともだが、鉛バッテリーとしての価格は微妙。けど普通に使えるはず。
LEOCH YTX4L-BS/YTZ4V/YTZ5S互換 12V 4AH EBZ4.5-3
ベトナムGS GTZ5S 液入り 充電済み
日本のユアサとは関係ない。
アクアドリーム バイク用バッテリー 液入充電済 MF ADTX4L-BS/ADTZ5S
参考価格: ¥3,080激安マイナー系バッテリーでは珍しく、ヨドバシドットコムでも取扱っているので、妙に安心感がある。
この製品はガス排出用の弁がある為、斜めにしたり、横倒しの利用は出来ないが、CT125で試してみたが問題は起きなかった。
デイトナ【Amazon.co.jp 限定】 バイク用 バッテリー 12V DATZ5S
パーフェクトパワー PTZ5S
参考価格: ¥3,080 前後ダメ元で買ってみる博打製品