ページ

2019年5月7日火曜日

OBD2 スキャンツール 概要

このページはYOUE TUBE動画の補足用記事である
HONDA 2輪/4輪 OBD2 汎用スキャンツールをタクトで試す


日本での歴史

乗用車及び小型トラックを対象に、2008年10月以降に型式認定を受け生産が開始される車両に対しOBD2仕様の自己診断機能の搭載を義務付け。

国土交通省は、中央環境審議会答申 第10次答申 11次答申などを踏まえ、ディーゼル重量車及び二輪車の排出ガス規制を強化するため、道路運送車両の保安基準等を改正し、平成27年7月1日に公布、施行した。
この2016年の改正により国内で販売される二輪、4輪の全車両が自己診断機能の搭載対象となった。

OBDは車載式故障診断装置の義務付けに伴い、OBD2仕様となり各メーカーの枠を超えて、DLC(Data link coupler)と呼ばれる同じ形状・ピン配置の接続コネクターと、同じ故障コードを使い、故障発生時には同じように警告灯を点灯させる機能を実現させた。

バイクにおけるスキャンツールの現状
二輪国内三次規制(平成28年)に対応した現行モデルであれば、適切なスキャンツールを選べばほとんどの車種が利用できるはずである。少なくともホンダの車両であれば問題なく利用できるだろう。
OBDのプログラムが格納されているECUは車体の電子頭脳とも言える重要な部品だが、国内のバイクメーカーのECU製造元は三つに分けられる。
HONDAならKEIHIN、ヤマハやスズキならDENSO、カワサキはDENSOだったりMITSUBISHIだったりKEIHINだったりと、ECUの違いによる仕様やプログラムの違いによる相性的問題の可能性や、せっかく統一されたコネクタが直に接続することが出来ずメーカー毎にハーネスが異なるなど、規格のメリットが生かされていないと言った問題もあり、現状では課題が多い

バイクでは、メーカーごとにアダプタハーネスが必要
キタコの製品例、左からホンダ用、カワサキ用、スズキ用、ヤマハ用


汎用スキャンツールの種類

スタンドアロンタイプ
スタンドアロンタイプはそれ自体で完結している純粋なスキャンツールのこと。
コードリーダー型、ハンディ型、PC接続型などがある 特化した製品であるため、レスポンスや操作性に優れるのが特徴。
機能やサポートする車輌の種類は価格により明確に異なる他、PC接続型以外は購入後の機能の拡張は殆ど望めない。


アダプタタイプ
スキャンツールとして専用のアプリを使う本格的なものから市販のアプリを利用する安価なタイプまで色々だが、一般にはカー・アクセサリ的な目的で利用される。
本体自体にはスキャンツールとしての機能は無く、スマートフォンやPCと無線やUSBなどで接続し、アプリケーションによってスキャンツールとして機能する。
スキャンツールとしての機能はアプリケーション次第で変わるが、導入コストの安さとリアルタイムデータを表示する機能がマルチメーターとして利用できる事から一般のドライバーやライダーがマルチメーターアクセサリとして利用できるのが最大の魅力。

※スイッチ付きのスキャンツールアダプタの注意点
※2019年以降のホンダ2輪車のOBDコネクタの表記はサービスチェックカプラからDLC表記に変更された。
乗用車のOBDコネクタは、ほとんどの車輌は常時通電(バッ直)に対し、バイクの場合(少なくともホンダのサービスチェックカプラ(DLC)の場合)はキースイッチ連動となっている。
この為、キースイッチ連動の車輌ではスキャンツールアダプタに電源スイッチは必要ない。
仮に、キースイッチ連動の車輌に電源スイッチ付きのスキャンツールアダプタを取付るとめんどくさいことになるので注意が必要だ。
理由は、スイッチの方式が機械式であれば、電源をオンにすれば通電が途切れてもスイッチ自体はオンの状態を維持するのに対し、半導体式スイッチは通電が途切れるとオフの状態にリセットされる。
そして、電源スイッチ付きとして売られているスキャンツールは半導体式スイッチを採用している。
この為、キースイッチ連動の車両でメインスイッチをオフにしてしまうと、スキャンツールアダプタの電源スイッチもオフの状態に戻ってしまい、車輌の電源をオンにするたびにスキャンツールアダプタの電源もオンにする必要がある。
乗用車と違い風雨に直接さらされるバイクではスキャンツールアダプタのような電装品を手の届く場所にむき出しで設置することは出来ず(絶対禁止事項)、カウルやカバー内に隠すように設置することになる事から、バイクを利用するたびにスキャンツールアダプタのスイッチを押すのは非常に面倒なことになる。
尚、キースイッチ連動で扱いやすいからといって、極めて重要なECUとつながっているサービスチェックカプラ(DLC)から電源を取り出して利用するのは絶対にやってはいけない。


安価な無線通信タイプ スキャンツールの問題点
これらの安価な機器は、通称ELM327デバイスやドングルと呼ばれ、ELM Electronicsというカナダの企業が作ったOBD-IIの通信を簡単に行えるICチップの名称が元になっている。
ELM Electronicsが最初のELM327(v1.0)を販売した時点ではコピープロテクトをしていなかった為に他の製造業者によって多くの異なる非公式のバージョンが作成され、その結果、安価にスキャンツールが利用可能になった反面、それは粗悪品を手にしてしまう可能性も高くなる結果も生んだ。

ELM327を購入する際、混乱させる要因の一つに、使用されているファームウェアのバージョンがある。
現時点での公式バージョンは、1.0、1.0a、1.1、1.2、1.2a、1.3、1.3a、1.4、1.4b、2.0、2.1、2.2があるが、安価に流通しているのはv1.5かv2.1の2つしかない。これらの安価な製品は100%間違いなくコピー品であり、そのうち安定して動作するのはv1.5のタイプに多いが、ベースとなったバージョンはv1.2である。
一方のv2.1は粗悪品と言っていいレベルの互換性と不安定さが目立ち、中にはELM327のコピー品ではなく、ELM320のコピー品のようなものも含まれる。
それでもまだ、バージョン表記があるだけでもマシな方でBluetoothのバージョンだけを表記して誤認させるような製品も少なくない。

これらのバージョンの違いを見分けることはまずできないと思っていい。


少しでも安心して購入したいなら・・・

●安価で怪しいながらも、動作を確認して販売しているショップもある
amazonで安価な三種類の一千円台のBluetoothタイプを購入し、正常に動作したのはZappaの製品だけだった。
Zappa ELM327(青)
Bluetooth
Zappa ELM327(白)
Bluetooth
Zappa ELM327 WiFi(青)

まともな販売店の製品を買う
割高感は否めないが、よくわからないショップの販売製品を買うより安心できる。
MAXwin OBD2Mini(iOBD2)マルチメーター
MAXwin OBD2マルチメーター 

OBD2miniマルチメーター
amazon
安くて怪しいのにしっかりと動作したWiFiタイプの例
wifi製品としては安価で期待はしていなかったが、あっさりと動作する上にスマートフォンの電源OFFからの再接続も問題なく利用可能と非常に安定して使えているのが DCT OBD2だ。
だめだったら他の製品を試していくという予定だったが、WiFiタイプはこの製品が最初でいきなりまともに使えてしまったのでWiFiタイプはこの製品一つしか購入していない。
一方、Bluetoothタイプはまともに動作する製品を手に入れるのに3製品も購入。
2製品目まではまったく使い物にならない製品を購入後、さすがにもう少し確実な物をという事で安価ながら動作確認を謳うZappaの製品を購入することでまともに動作する製品を手にすることが出来た。

WiFiタイプとBluetoothタイプでは正常に動作する限り、レスポンスや挙動に違いは感じられなかった。
ただし、感覚的なもので申し訳ないが、安価な製品で有りなら無線接続の安心感と安定度ではWiFiタイプのほうが良い(電波強度的にWiFiが優れるのは確かだが、そう云う事とは違った意味で)。消費電力が高かろうが、そんな事は余計なお世話であり、個人的にはWiFiタイプを利用するだろう。

無線通信タイプのスキャンツールで実績のあるブランドから選ぶ
安価な中国製品に抵抗があるなら実績のあるメーカーの製品を選ぶことになるが、基本的にこれらのメーカーの製品を購入するのはamazon USAから輸入する事になるだろう、日本のamazonで並行輸入したものを販売しているショップもあるが価格差が大きすぎるし、サポート面でもamazon USAから購入したほうが購入証明が確実になるので安心だ。

・BAFX
アメリカに本拠を置く企業で、顧客満足に焦点を合わせた体制は評価が高い
アメリカだけでなく世界の顧客にも優れた顧客サービスを提供。
2年間の製品保証が企業ポリシーを物語る。

BAFX Bluetooth OBD2 

・Foseal
空気圧縮機や防雨型自動車用バックミラーフィルムなどの他の自動車用アクセサリーも製造しているOBDメーカー。

・OBDLink
アメリカに本拠を置く企業で、本社はアリゾナ州フェニックス。
非常に推奨されるメーカーの一つ。

・VeePeak
車の所有者や愛好家のために設計されている手頃な価格のOBDスキャナーのブランド

・PLX
Paul Lowchareonkulによって設立されたPLX Devicesブランドは、自動車アフターマーケット機器の製造において16年の経験を誇る。


WiFi か Bluetoothか?
販売されている無線タイプの製品は大半がBluetoothである為、iPhone で利用するユーザー以外は何も考えずにBluetoothタイプを購入するかもしれないが、スマートフォンのBluetooth プロファイルがSPPに対応していない機種では動作しないので注意が必要だ。

ほとんどの製品でiPhone (i OS)で、Bluetoothタイプが利用できないのは、SPPを利用する製品はAPPLEの認証を受けていないと有効にならない為に、コスト等の問題(特に怪しく安価な中国製)でそこまで対応できないという事情がある。

Bluetoothの魅力はその省電力性にあるが、現実的にはスマートフォンを車載アイテムとして利用する場合、大抵はUSBによる給電を行いながら利用するので、WiFiタイプを選んでもまず問題にならない。

WiFiタイプのメリットはi PhoneやAndroidといったスマートフォンからPCまで機種を選ばず確実に接続出来る事が最大の魅力となる。
アプリケーションはBluetoothのみに対応するものが多いが、WiFiにも対応するアプリケーションの方がよく出来ている事や一部のアプリは主流に近いシェアを持つ事から、それほど気にする必要はない。

一応、念を押しておくと、Bluetooth 版については 
・利用するスマートフォン等がSPPに対応していることを確認しておく。
・SPPに対応しているとされるスマートフォンであっても利用できない物がある事。
・i PhoneではBluetooth 版はAppleの認証を得た製品のみが利用できる事(MAXWIN iOBD2 等)。

車輌については 
・OBD2がサポートするいずれかのプロトコルを採用している事。
最新の車両であれば、もれなく対応しているはずであるが、ECUのプログラムとの相性的なものは存在する。

 いずれにしてもスキャンツールを購入する場合は、OBD2プロトコル全てに対応しているかどうかが製品選択のポイントの一つとなる。


ELM327インターフェースでサポートされているプロトコル
ELM327が唯一のELMインターフェースではない。
327は、すべてのOBD2ファミリのプロトコルをサポートしているため、最も普及しているが、その前身であるELM320、ELM322、およびELM323は、まだ購入および使用可能である。 ELM320はPWMのプロトコルのみをサポートし、ELM322はVPNのプロトコルのみをサポート、ELM323はKWPのプロトコルのみをサポートという構成である。 ELM系以外のチップでは、STN1110などがある。 ELM327がサポートするプロトコルは、あらゆるタイプのプロトコルと完全に互換性があるのが特徴で、すべてのOBD2プロトコルに対応する。

OBD2プロトコル・リスト
ISO 15765-4 CAN (11 bit, 500 kbit/s)
ISO 15765-4 CAN (29 bit, 500 kbit/s)
ISO 15765-4 CAN (11 bit, 250 kbit/s)
ISO 15765-4 CAN (29 bit, 250 kbit/s)
ISO 14230-4 KWP (5 baud init, 10.4 kbit/s)
ISO 14230-4 KWP (fast init, 10.4 kbit/s)
SAE J1850 PWM (41.6 kbit/s)
SAE J1850 VPW (10.4 kbit/s)
ISO 9141-2 (5 baud init, 10.4 kbit/s)
SAE J1939 (250kbit/s)
SAE J1939 (500kbit/s) 

ホンダの日本国内市販車では、ISO 14230-4 KWP が使われるが、トヨタを除くとマツダ、三菱、ダイハツは情報が少なすぎて不明、スズキは動作しない報告が目立つ。というように愛車によっては利用できない可能性があり製品選択を難しくしている。
バイクの場合、スズキは車と二輪共に変態の愛称に恥じない独自プロトコルが使われてる車輌があったりとメチャクチャであり、カワサキの場合はECUの製造元がバラバラで訳が分からないことになっていてバイク屋でなくとも「カワサキか・・・。」と、呟きたくなるような面倒くささがあったりと、義務化に伴いそのうち収束してくるとはいえ、特に古い車両では自爆覚悟で試してみるしか方法は無い。


ライブデータ
ライブデータとはエンジン性能や燃費などの分析に使用できるリアルタイムデータを表示する機能。
無線通信タイプの価値はこのライブデータにあると言っていいほど重要な機能で、回転計や水温計などをスマートフォンを使って表示させることで、配線の手間とお金をかけずに簡単にマルチメーターを車輌に搭載できる事から、単純にカー・バイク用アクセサリーとしての利用を目的としての購入が多い。

いっぽう、無線通信タイプよりも機能面で劣っても、メンテナンス用として利用するならスタンドアロンタイプのリーダー型やハンディタイプのほうが使い勝手はいい。

ELM327の表示できるライブデータのリストは次のとおり

アクセル関係
Absolute Throttle Position - 絶対スロットルポジション
Accelerator Pedal Position - アクセルペダルの位置
Throttle Position - スロットルポジション
Relative Acceleration Pedal Position - 相対加速ペダル位置
Relative Throttle Position - 相対スロットル位置

給排気系
Mass Air Flow - 風量
O2 Sensor - O2センサー
Ambient Air Temperature - 周囲温度
Air Fuel Ratio - 空燃比
Barometric Pressure - 大気圧
Command Equivalence Ratio - 当量比
Intake Air Temperature - 吸気温度
Barometer - 気圧
Intake Manifold Pressure - 吸気マニホールド圧力
Catalyst Temperature - 触媒温度
CO2 Emissions - CO2排出量
O2 Volts -
Exhaust Gas Temperature - 排気ガス温度
Turbo Boost and Vacuum Gauge - ターボブーストおよび真空計
EGR Commanded - 排気ガス流量(ディーゼル車)
EGR Error - 排気ガス量調節バルブの故障(ディーゼル車)

燃料系
Fuel Flow Rate - 燃料流量
Fuel Pressure - 燃料圧力
Fuel Trim Bank - 燃料トリムバンク
EVAP System Vapor Pressure - 燃料蒸発ガスセンサーの蒸気圧
Fuel Cost - 燃費
Fuel Level - 燃料計
Fuel Rail Pressure - 燃料レール圧
Fuel Used (trip) - 燃料使用量
Cost Per Mile - マイルあたりのコスト
Distance to Empty Fuel Tank - 燃料タンクが空になるまでの走行距離
Ethanol Fuel Percentage - エタノールの燃料温度

エンジン系
Engine Coolant Temperature - エンジン冷却水温度
Engine Load - エンジン負荷
Engine RPM - エンジン回転数
Engine kW - エンジンのkW 
Engine Oil Temperature - エンジンオイルの温度
Volumetric Efficiency - 体積効率
Transmission Temperature - トランスミッション温度
Horsepower - 馬力
Torque - トルク

走行/距離
Average Trip Speed - 平均トリップスピード
Distance Traveled Since Clearing ECU Code - ECUコードクリア後の走行距離
Kilometers Per Liter - 1リットルあたりのキロメートル
Trip Average KPL - 1リットルあたりの平均走行距離
Miles Per Gallon - ガロンあたりのマイル数
Trip Average MPG - 1ガロンあたりの走行距離
Distance Traveled with Check Engine Light On - エンジン警告灯が点灯してからの走行距離
Trip Time - 走行時間
Run Time Since Engine Start - エンジン始動からの走行時間
Trip Distance - トリップ距離

GPS・・・スマートフォンなどのGPSを利用
GPS Altitude - GPS高度
GPS Latitude - GPS緯度
GPS Satellites - GPS衛星
GPS Accuracy - GPS精度
GPS Bearing - GPS方位
GPS Longitude - GPS経度

その他
Speed - 車速
Timing Advance - 送信タイミング
Voltage (Control Module) - コントロールモジュール電圧

これらの項目は、全てが機能するわけではなく、表示できる内容はアプリケーション及び、車種やそのグレードなどによって異なる。
例えば、車速表示は、スピードメーターがあることから当然のように機能すると思いがちだが、例として、アイドリングストップを搭載しない車輌では車速センサーを搭載する必要が無いので省かれている場合がある。この場合、車速表示は動作しないうえに、車速に絡んだ項目も機能しない。







0 件のコメント:

コメントを投稿